就労継続支援の輪

地元農業の活性化の一役を担う「ひふみよベースファーム大崎」

就労継続支援事業所は全国各地で増加傾向にあり、令和元年度現在、その数はA型で3,842カ所、B型では13,117カ所に上ります(出典:国保連データ)。

すでに全国各地に多くの事業所が存在している中、新しく参入した事業所はどんな思いで事業所を立ち上げ、どのような事業で特色を打ち出そうとしているのでしょうか。

誕生して間もない就労継続支援事業所を紹介する「就労継続支援の輪」。

第1回目となる今回は令和2年11月に鹿児島県曽於郡大崎町に開設された「ひふみよベースファーム大崎」を取材。施設長の諸木大地さんに特色を教えてもらいました。

「ひふみよベースファーム大崎」の由来

「ひふみよベースファーム大崎」の「ひふみよ」とは、数字の「一二三四」のことです。1、2、3はホップ・ステップ・ジャンプの掛け声としてよく使われています。ホップは片足、または両足で軽く飛ぶこと、ステップは前へ進むこと、ジャンプは両足で思いっきり高く飛ぶことを指します。「ひふみよ」はこの3番目のジャンプからさらに飛躍できるように「一二三(ひふみ)」にもう1段階上の「四(よ)」を足したものです。

また、ベースは英語の「base」で、根元や土台、基地などの意味があり、地域の活動の拠点となる施設のこと。農業がさかんな町で農業の活動拠点の施設となれるように、との願いを込めて「ひふみよベースファーム大崎」という名称にしました。

(画像=ひふみよベースファーム大崎)

農業の町で直面した人手不足が契機に!

農業の町といわれる鹿児島県曽於郡大崎町。多くの人が有機農業に携わる中、農家には必ず農繁期があります。

私もこの町で長年有機農業を続けていますが、10年前頃から農繁期に加勢に来てくれていた地域の方が高齢となり、体調面や体力面、家族の面倒をみないといけないといった理由から人手不足が目立つようになりました。

それでも毎年、農繁期はきます。そこで、元々障害福祉に興味があった私は農繁期に近くの就労継続支援B型事業所に相談し、利用者の方に施設外就労に来てもらうことにしました。

私自身、農業を始める前に10年以上福祉に従事していた経験もあり、すぐに障がい者の方が仕事ができるとは思っておらず、ゆっくりと作業に慣れてもらえればと思っていました。

ところが、1日で事業所側から施設外就労を断られたのです。私の中ではゆっくりと、と思っていただけに肩透かしを食らったようで不完全燃焼状態でした。職員の疲労と利用者の方の暑さへの対応が難しいということが断られた理由です。施設外就労に来られている利用者さんは不慣れな作業でなかなかスムーズに動くことができない状態でしたが、その分、付き添っている職員がものすごい勢いで仕事をしていました。僕たちでもそんなスピードで作業をするとバテてしまうというぐらいでした。焦らずにと伝えたのですが…。今でいう熱中症で最終的に職員がバテてしまったのです。

その後、障がい者の就労について勉強したいという思いは続き、鹿児島市にあるひふみよ株式会社(旧ひふみよ合同会社)と出会いました。そこで、有機農業は従業員に任せ、就労継続支援事業所のサービス管理責任者として従事し始めたのが始まりです。

それから数年たった頃、地元での農繁期の人手不足はますます深刻になっていました。地域の高齢者の方たちの子どもは都会に出て地元に帰ってくるケースが少ない現状があります。

そんな中、農業に従事している高齢者の方たちが体力がなくなって働く時間が少なくなっても障がい者の可能性で労働力を補えるのではないか、高齢者と障がい者が交流することでお互いに楽しい環境が作れるのではないか。そうした思いから、地元の大崎町で就労継続支援B型事業所を始めることにしました。

(画像=ひふみよベースファーム大崎)

ひふみよベースファーム大崎が目指す憩いの場

8050問題は大崎町でも深刻で、1万2000人余りが住むこの町で150名ほどが直面しているという統計データがあります。また、8050問題から7040問題とまでいわれるようになりつつありますが、高齢化が進むにつれて情報が入りにくく、悩みを抱える人が多いことも分かりました。

  • 人との関係で悩んで誰にも相談できない
  • 自信が持てなくて、よくないことばかり考えてしまう
  • 将来のことは気になるけど、どうしていいか分からない

「ひふみよベースファーム大崎」はこうした悩みを抱えている方の憩いの場でありたいと思っています。

家以外にも自分の居場所があり、同じような悩みを持っている方たちと一緒に活動しながら、地域で生活できる環境を作っていきたいと思います。一人一人、悩みの内容や目的に違いがあっても、自分の居場所があると思ってもらいたいです。

また、従来の農業だけでなく、スマート農業や関連会社とのつながりからIT事業など、田舎でも楽しく仕事ができる環境を整えていきたいと考えています。

(画像=ひふみよベースファーム大崎)

有機肥料・無農薬栽培で育てた桑の葉を使った桑茶

ひふみよベースファーム大崎では有機JAS認証のオーガニック商品を販売しています。桑の葉の収穫は、手作業で枝を剪定・葉を1枚1枚手摘みし、気温・湿度・南国特有の強い太陽の光のもと、様々な環境で収穫・加工を行っております。

桑美茶

厳選した『桑の葉』は、 雨や晴れ・桑の葉の水分量・湿気などの環境が整い収穫された有機桑葉のみを使用しております。1年で数日しか巡り合えない環境の中で出来上がった自慢のスティック商品です。
ノンカフェインの純粋桑の葉100%の粉末!
桑の葉のあまみとまろやかさを楽しんで頂ける商品です。
桑の葉の魅力的な豊富な栄養成分と桑の葉特有の成分が糖分の吸収を穏やかにしてくれます。

  • ノンカフェインで亜鉛も含んでいる為、子供さんにもご利用頂けます。お子様の成長や大事な味覚、女性のお肌にも亜鉛は必要な成分と言われています。
  • 妊婦の方や野菜不足の方、糖分が気になる方など、幅広い年齢の方にもご利用頂けます
  • 取扱いやすいスティックタイプで簡単にご利用頂けます。
  • ホットからアイス、牛乳や等にも。
  • お水のペットボトル(500ml)にスティック1本を入れてシャカシャカ‼ご利用ください。

(画像=桑美茶)

桑抹茶

年間収穫した有機桑の葉をお抹茶のような粉末に仕上げました。50g又は100gの有機桑葉粉末が入っています。

(画像=桑抹茶)

桑あま茶

有機桑葉と甘茶をブレンドした日本で唯一の商品です。甘茶は天然の甘味が楽しめるノンカフェイン・ノンシュガーの植物です。

(画像=桑甘茶)

(画像=ひふみよベースファーム大崎)

ひふみよベースファーム大崎からのメッセージ

障害者手帳をお持ちでない方で、以前は働いていたけど対人関係などのストレスで働けなくなった方なども相談に乗ることができます。就職するまでの一次的なクッション役・ステップの場としても活用できます。

(画像=ひふみよベースファーム大崎)

事業所情報

ひふみよベースファーム大崎

(画像=ひふみよベースファーム大崎)

事業所名 ひふみよベースファーム大崎
種別 就労継続支援B型事業所
事業所開設日 令和2年11月2日
事業所番号 4612900144
住所 〒899-7301 鹿児島県曽於郡大崎町菱田948-2
連絡先 099-478-8333
利用者対象 身体・精神・知的
仕事内容 有機農業、加工、販売。スマート農業の取組み。
CWS(クリエイティブワークセクション)。
地域農業とのノウフク活動。
日南海岸国定公園の松林の内にあるくにの松原キャンプ場:環境整備。
地域イベント販売。クライアント先での施設外就労。
ホームページアドレス https://hifumiyo.co.jp/basefarm/
サービス提供日・時間 月曜日~土曜日・祝日(年末年始に休業有) 活動時間:10時~15時
事業所設備 鉄筋コンクリート3階建て(1階・2階を使用)・庭にプール付き(使用方法を検討中)
事業所の雰囲気 メンバーは個々の目的を持ち日々出勤されています。
個々の目的から、ひふみよベースファーム大崎がご自分の安心できる居場所になりたいと
思っています。
メンバーが居場所と思える雰囲気を目指しています。

※はたらくBASEでは、記事公開した時点での法律や制度に則って記事を執筆しております。新しく事業所を開業する場合や、加算などを検討する場合は、最新の法律や、地域の障害福祉サービスを所管する窓口に制度や条件等をご確認ください。

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