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重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金を活用するには

重度の身体・知的・精神障害者を多数継続雇用している事業所に助成されるお金が「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」です。ご自身の事業所に支給されるか不安な方に、事業継続を後押しする助成金の対象、助成額、申請方法を解説します!

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の概要

障害福祉サービスには、障害者の継続した就労のサポートや事業所の負担を軽減するために様々な助成金があります。障害者雇用時は障害特性にあった職場環境の整備を進め利用者の能力を引き出す必要があるためです。

その手助けになる助成金のひとつが重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金。この記事では、助成金の概要をお伝えします。

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金とは

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金とは、その名の通り重度の障害者(身体障害者・知的障害者・精神障害者)を多数、かつ継続して雇用している事業主に支給される助成金です。

事業主が安定した雇用の継続が可能であると認定され、かつモデル性の高い障害福祉事業と認められると、重度障害者のために必要な設備や整備に必要なお金の一部が助成されます。

モデル性とは、障害者の定着状況や雇用計画、事業の継続性、施設を利用するかたへの配慮など、障害者を雇用するうえでモデル(規範)となる事業所であるかどうかです。

対象となる事業主

支給の対象となる事業主は以下の通りです。


(画像:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用助成金のご案内より抜粋)

ただし、上記を満たしている事業主であっても助成金が支給されない場合があります。たとえば不正行為で助成金を申請し不支給措置が執られている事業主や、社会保険等の加入義務がある事業主が加入していない場合、暴力団関係の事業主がその一例です。

支給対象となる事業所と対象となる障害者

支給対象の事業所となるには、「支給対象主が所有している」「事業所が、支給対象障害者の雇用に適当であると認められている」という2つの要件を満たしている必要があります。

1.作業施設・・・労働者の作業施設
2.管理施設・・・事業を管理する施設
(作業施設と併せて設置するものに限る)
3.福祉施設・・・労働者用の住宅や食堂等
(作業施設と併せて設置するものに限る)
・労働者住宅
・保健施設
・給食施設
・職業訓練施設
4.作業施設や管理施設、福祉施設の目的を達成するための設備や備品
(固定資産税の対象となる償却資産、または自動車税や軽自動車税の課税対象車)

【対象となる障害者】
1.重度身体障害者
2.重度知的障害者
3.短時間労働者を除く知的障害者
4.精神障害者

申請の流れ

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金は、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下:「機構」と表記)」が業務全般を担っています。申請に必要な情報が記載されたパンフレットは機構のHPからダウンロードできます。申請書の実際の様式についても機構のHPからダウンロードが可能です。

申請はまず各都道府県にある機構の支部で指定申請の手続きをし、それから支給請求の手続きに移ります。

指定申請の流れ

1.認定申請前の事前審査
助成金を申請するためには事前審査が必要です。助成金の認定申請前に事業計画等を審査機関に提出するきまりがあります。そこで経営状況や重度障害者等を雇用するうえでのモデル性があるかどうかを審査されたのち、事前審査の結果が通知書で届きます。その後、指定申請の手続きに移行します。
2.認定申請書の提出
事前審査を通過すると、障害者助成金受給資格認定申請書や必要な添付書類を管轄都道府県の窓口に提出します。
3.照会
審査をするうえで確認したい事項が発生したときは事業所に照会がきます。
4.審査結果
審査の結果が書かれた認定通知書が届きます。

※なお、助成金の対象となる施設の設置等は、受給資格の認定を受ける前の着手(事前着手)は禁止です。

支給請求の流れ

1.支給請求書の提出
指定申請の認定通知書が届いたら、障害者助成金支給請求書および必要な添付書類を事業所を管轄している窓口に提出します。提出には期限が設けられており、原則、認定日から1年以内です。
2.照会
認定申請と同じく、審査の段階で確認事項が生じた場合は事業所に照会がきます。
3.審査結果
審査の結果が記載された支給決定通知書が届きます。
4.振込
金融機関から実際に助成金が振り込まれます。

助成額

【助成額】
事業施設等の設置・設備に要する対象部分の費用×2/3の額が助成されます。
特例の場合は3/4の額が助成されます。

特例の要件は下記のいずれかを満たす事業主です。
1.特別重度障害者等のなかで3名以上、支給の対象となる障害者を雇い入れる事業主。
2.地方公共団体等と一般企業の共同出資で立ち上げられた第三セクター方式の重度障害者雇用企業の事業主。

【限度額】
限度額は5000万(特例の場合は1億円まで助成されます)。
特例の要件は、助成額の特例対象となる事業主もしくは特例子会社のなかで、重度障害者の雇入れの数が特に多いなどの要件を十分に満たしていて、厚生労働大臣の承認を得られたケースです。

※利息支払い助成金
助成金の対象となる施設の設置や整備に必要な費用を銀行から借り入れる場合、借入金の利息の支払い費用が対象となります。期間は最長5年です。

おわりに

今回は重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金を活用した事業所づくりのために、助成金の概要から助成額、手続きの流れを解説しました。

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金は細かな決まりが多く、注意事項もたくさんあります。

この記事で概要を知り、全体像の把握にお役立てください。申請書の受付を担っている各都道府県支部の担当窓口は相談業務も受け付けています。実際に手続きに移るさいは窓口に相ご相談ください。

※はたらくBASEでは、記事公開した時点での法律や制度に則って記事を執筆しております。新しく事業所を開業する場合や、加算などを検討する場合は、最新の法律や、地域の障害福祉サービスを所管する窓口に制度や条件等をご確認ください。

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