障害者作業施設設置等助成金とは「障がいを持つ人が働きやすい設備を作るのための助成金」です。
この記事では、雇用や人材の定着など数ある助成金のなかでも障害者作業施設設置等助成金に着目して、概要や金額、対象者や手続きなどを詳しくお伝えします。
障害者作業施設設置等助成金とは?
障害者作業施設設置等助成金は2種類
雇い入れるまたは継続して雇用する障害者の障害特性による就労上の課題を克服する、作業施設などの設置・整備を行う事業主に対して助成するものであり、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的としています。
この助成金は、設置・整備の方法により、「第1種作業施設設置等助成金」と「第2種作業施設設置等助成金」の2つに分けられます。
「第1種作業施設設置等助成金」は作業施設等の設置・設備を建築等や購入により行う場合の助成金。
「第2種作業施設設置等助成金」は作業施設等の設置・整備を賃借により行う場合の助成金。
対象となる障害者や支給額などについては、同じものや異なるものがあるので、以下の章でそれぞれ説明します。
対象となる障害者について
対象となる障害者は「第1種障害者作業施設設置等助成金」「第2種作業施設設置等助成金」ともに同じです。
障害者作業施設設置等助成金の対象となる障害者は以下の通りです。
- 身体障害者及び重度身体障害者である短時間労働者
- 知的障害者及び重度知的障害者である短時間労働者
- 精神障害者及び精神障害者である短時間労働者
- 中途障害者 ※1 (重度身体障害及び精神障害者にあっては、短時間労働者を含む)
- 上記の障害者である在宅勤務者
※1 中途障害者とは、脳血管障害、難病、交通事故等で突然障害を持った人を指します。
助成金受給の対象となる事業主について
「第1種障害者作業施設設置等助成金」「第2種作業施設設置等助成金」を受給する申請事業主は次のすべての要件を満たす必要があります。
- 支給対象となる作業施設等の設置・設備等を行わなければ、対象障害者の雇入れまたは雇用の継続が困難であると認められたこと
- 不正受給による障害者雇用納付金関係助成金の不支給措置がとられていないこと
- 不正受給をおこなったことにより返還金が生じている場合、当該変換の履行が終了していること
支給対象となる作業施設等について
支給対象となる作業施設等は大きく分けて3種類あります。
- 作業施設
支給対象障害者の障害を克服し、作業を容易にするために配慮された施設であり、その施設の設置又は設備を行わなければ、支給対象障害者の雇入れまたは雇用の継続が困難であると認められるものをいいます。
なお、支給対象障害者が使用する施設であっても、申請事業主の事業に本来必要でない施設と判断されるものは対象となりません。
- 付帯施設
作業施設に附帯する施設で、支給対象障害者の障害を克服し就労することを容易にするために配慮された施設(たとえば、玄関、廊下、階段、トイレ等)であって、当該施設の設置または整備を行わなければ、支給対象障害者の雇入れまたは雇用の継続が困難であると認められるものをいいます。
※事業所の附帯施設の新築にあたって車いす用トイレや手すり等の設置など「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(国土交通省)に掲げられた整備を行うことは対象とはなりません。
- 作業設備
支給対象障害者の障害を克服し作業を容易にすることを目的として製造された設備(視覚障害者用拡大読書器または作業用車いす等)及び障害者の作業を容易にするために改造を加えた設備(改造部分のみが対象となり、設備全体は対象となりません)をいいます。通常の事業用設備は対象になりません。
※以下のいずれかに該当する場合は対象となりません。
「第1種作業施設設置等助成金」
- 設置・整備した作業施設等を事業主自らが所有しない場合
- 中古品や自社製品等により作業施設等を設置・整備した場合
- 関係会社、関連会社等に作業施設等の工事等を発注した場合
- 関係会社、関連会社等から作業施設等を購入した場合
- 作業施設等の工事等を申請事業主自ら実施する場合
- 対象障害者が所有する作業施設等を購入する場合または当該施設等に工事等を行う場合
「第2種作業施設設置等助成金」
- 中古品または自社製品を賃借する場合
- 転賃借により作業施設等を設置・整備する場合(機構が認める場合を除く)
- 関係会社、関連会社等が所有する作業施設等を賃借する場合
- 対象障害者または申請事業主(代表者および役員を含む)所有の作業施設等を賃借する場合
障害者作業施設設置等助成金の手続きはどうすればいいの?
受給手続きの流れは、「第1種障害者作業施設設置等助成金」「第2種作業施設設置等助成金」ともに同じです。
ただし、認定日に関して注意点があるので要チェックです。
大まかな流れ
- 受給資格認定申請
定められた期間内に、「障害者助成金受給資格認定申請書」に必要な書類を添えて、管轄の都道府県支部高齢・障害者業務課(東京支部、大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課)へ提出します。
- 支給請求
「受給資格認定申請」によって受給資格の認定を受けた後、定められた期間内に「障害者助成金支給請求書」に必要な書類を添えて、受給資格認定申請書を提出した都道府県支部高齢・障害者業務課(東京支部、大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課)へ提出します。
認定日と発注や申し込みのタイミングについて
- 「第1種障害者作業施設設置等助成金」
認定申請前に発注・契約を行っているものについては申請ができません。
認定日以前に申込・発注・契約、支払を行う場合は、機構へ認定申請書を提出した日以降であって、かつ「事前申出書」による届出を行うことが必要です。
なお、第1種作業施設設置等助成金は支給決定から1年後及び2年後に、「障害者助成事業実施状況報告書(以下「報告書」といいます)」を提出する必要があります。
- 「第2種障害者作業施設設置等助成金」
賃貸借契約を締結した後の認定申請が認められています(ただし、認定申請書の提出期限は、作業施設等の賃貸借契約日の翌日から起算して6か月後の応答日です)。
終わりに
障害者作業施設設置等助成金について詳しく説明してきました。
今回ご紹介した施設設置等助成金だけでなく、雇用に関する助成金や職場定着のための助成金などさまざまな助成金があるので、うまく活用して障害者の雇用につなげてみてはいかがでしょうか。