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就職やキャリアアップにつながる!障害福祉に活かせる資格

福祉業界への就職、ステップアップで気になるのが資格の有無です。
この記事では「障害支援施設への就職に活かせる資格」「キャリアアップで押さえておきたい資格」の2つに分けて解説します。福祉に携わるうえで自分に必要な資格を整理しましょう。

障害者福祉とは

障害者福祉とは、身体、知的発達、精神に障害を持つ人々に対して、自立を支援する社会的サービスのことです。障害のある人もない人も同じように生活し活動できる社会を目指すノーマライゼーションの理念に基づき提供されています。

では、障害者福祉の現場である障害者支援施設で働くにはどのような資格が必要なのでしょうか?

障害者支援施設で働くために取っておきたい資格

障害者支援施設とは、障害者に介護や相談援助、日常生活上の支援などを提供している施設の総称です。代表的な施設として、障害者総合支援法に基づく施設入所支援があります。

障害者支援施設にはそのサービス種別に応じて、医師、看護職員、理学療法士、作業療法士、栄養士、サービス管理責任者、生活支援員、職業支援員などの職種が働いています。医師、看護職員、理学療法士、作業療法士、栄養士、サービス管理責任者として働く際は資格(免許)が必要です。

ではまず、資格を必要としない生活支援員、職業支援員について見ていきましょう。

①生活支援員

生活支援員は、障害者の日常生活の支援を行う職種です。具体的には、施設で過ごす障害者に、食事、入浴、排せつなどの介護や支援、身体機能や生活能力の向上のための創作活動や生産活動、関係機関との連絡・調整を行います。

生活支援員として働くために必要な資格は定められていないため無資格から働いている人もいますが、社会福祉主事任用資格、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、実務者研修、介護職員初任者研修、児童指導員任用資格などの有資格者も多く働いています。

②職業支援員

職業指導員・就労支援員は、障害者が職業上では、障害者の希望必要になる技術等を習得するための訓練・指導を行う職種です。

適性に合わせて、パソコンの技術指導、生産活動の指導や援助をしたり、ハローワークとの連絡・調整、職場実習先や就職先の開拓、実習の手配、職場定着のための就職後の訪問や相談をしたりします。

生活支援員と同様、職業指導員として働くために必要な資格は定められていないので、無資格から働いている人もいますが、社会福祉主事任用資格、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、実務者研修、介護職員初任者研修、ジョブコーチ、キャリアコンサルタントなどの有資格者も多く働いています。

次に障害者福祉に関係が深く、資格が必要な理学療法士、作業療法士、サービス管理責任者について詳しく解説します。

①理学療法士

理学療法士は事故や病気、スポーツ中の怪我などによって身体に障害を持った方や、身体機能の衰えた高齢者に対して、理学療法を行います。

理学療法士は、座る、立つ、歩くといった、基本動作能力の回復・維持や、障害の悪化予防を目的とした運動療法や物理療法が主な仕事内容です。

また、怪我や病気などにより身体に障害の生じた人や今後障害の発生が予想される人に必要なリハビリのプログラムを作ることもあります。

理学療法士として働くためには、専門の養成校で3年以上学び、必要な知識と技術を取得する必要があります。養成校には4年制大学をはじめ短期大学、専門学校、特別支援学校などがあります。

養成校には一般教養科目、専門基礎科目、専門科目、臨床実習の四種類が用意されており、全カリキュラムを終了後に国家試験に合格すれば理学療法士として働けます。

②作業療法士

作業療法士は、日常生活をスムーズに送るための応用的動作のリハビリテーションを行います。ここで言う応用動作とは「食事をする」「顔を洗う」「料理をする」「字を書く」などの生活する上で必要不可欠な動作のことを指します。

理学療法士が体の大きな動きのリハビリテーションを行うのに対して、作業療法士は手の動作や指の細かい動作などのリハビリテーションを行う場合が多くあります。また、作業療法士ならではの特徴として、精神分野のリハビリテーションを行うこともあります。

作業療法士として働くためには、作業療法士の国家試験に合格する必要があります。受験資格を得るためには、文部科学大臣または厚生労働大臣指定の養成施設(3年以上)を卒業しなければなりません。

じっくり時間をかけて、より専門的な知識を習得したいなら4年制の学校、できるだけ早く現場に出ることを目指すなら3年制の学校が候補になるでしょう。

③サービス管理責任者

サービス管理責任者は、障害福祉サービスの個別支援計画の作成、関係機関との連絡・調整、他のスタッフの教育などを行います。

具体的な業務としては、利用者に対するアセスメント、個別支援計画の原案作成、担当者会議の開催、会議における意見に基づく計画の修正、個別支援計画の利用者への説明・交付、サービス開始後のモニタリング、利用者の関係機関への連絡・調整、サービスの質を向上させるためのスタッフの指導や研修計画の作成などがあげられます。

サービス管理責任者として働くためには、研修要件と実務経験要件を満たさなければなりません。研修要件では、相談支援従事者初任者研修(一部)、サービス管理責任者等基礎研修を修了して、OJT※の要件を満たし、サービス管理責任者等実践研修を修了することが必要になります。

また、実務経験要件として、直接支援業務8年、相談支援業務5年、国家資格有資格者による直接支援・相談支援業務3年が必要になります。サービス管理責任者として働いていく上で、5年ごとに更新研修の受講も必須です。

※OJT・・・「On the Job Training(職場内訓練)」のこと。実際に働く現場で、上司や先輩に指導を受けながら業務を行っていく研修制度です。

キャリアアップのために取りたい資格

ここまで障害者支援施設に関連の深い資格についてご紹介しました。では、これから障害者福祉の現場により貢献していくためにはどんな資格を持っておけばよいのでしょうか?

①社会福祉士

社会福祉士は、相談援助職としての国家資格です。身体上もしくは精神上の障害がある人、または環境上の理由によって日常生活を営むことに支障のある人、困難を感じている人を対象に、福祉に関する相談に応じ、助言や指導をし、福祉サービスや健康医療サービスを提供する関係者との連携や調整を行います。

資格を取得するには以下のような受験資格を満たし、1年に1回実施される国家試験に合格する必要があります。

  • 福祉系大学等で指定科目を履修後卒業し、必要な実務経験を積む
  • 福祉系大学等で基礎科目を履修後卒業し、必要な実務経験を積み、短期養成施設を卒業する
  • 一般大学等を卒業し、必要な実務経験を積み、一般養成施設を卒業する
  • 相談援助実務を積み、一般養成施設を卒業する

②精神保健福祉士

精神保健福祉士は、精神障害者の保健や福祉の相談援助職としての国家資格です。精神障害に関わる医療分野で活躍しているスペシャリストとして、うつ病や統合失調症、認知症など、精神障害を持つ人たちの社会復帰をサポートしたり、必要に応じて訓練を行ったりします。

資格を取得するには受験資格を満たし、国家試験に合格する必要あります。

  • 福祉系大学等で指定科目を履修して卒業して、必要な実務経験を積む
  • 福祉系大学等で基礎科目を履修して卒業し、必要な実務経験を積み、短期養成施設を卒業する
  • 社会福祉士として登録し、短期養成施設を卒業する
  • 一般大学等を卒業し、必要な実務経験を積み、一般養成施設を卒業する
  • 相談援助実務を積み、一般養成施設を卒業する

③介護福祉士

介護福祉士は、介護の専門職としての国家資格です。介護福祉士は、利用者に対する身体介助や生活援助、利用者のご家族に対する相談・助言、介護スタッフに対するマネジメントなどを行います。

資格を取得するには受験資格を満たし、国家試験に合格する必要があります。

  • 介護福祉士養成施設を卒業する
  • 実務経験3年以上と実務者研修を修了する
  • 福祉系高校を卒業する

④社会福祉主事任用資格

社会福祉主事任用資格とは、福祉事務所の現業員として働く際に必要な資格です。任用資格とは、該当する職種についたときに初めて名乗れる資格を指します。社会福祉主事の福祉事業所での主な仕事は、現業員(ケースワーカー)と視察指導員(スーパーバイサー)の大きく2つに分けられます。

現業員の仕事内容は、福祉事業所に訪れる方の相談対応や生活保護の申請受付などです。また、実際に各家庭などを訪問し、給付状態の記録をつけるなど、支援決定後もサポートのために関わる場合もあります。
視察指導員は、生活保護申請に対して受給資格があるかどうかを調査する役割があります。申請者の面接、家族の生活状況や資産の調査などを行い、最終的な受給の決定・不決定を判断します。また、適切な調査を行うために現業員への指導やアドバイスをする場合もあります。

資格を取得するには以下の要件を満たす必要があります。

  • 大学等で社会福祉に関する3科目以上履修して卒業する
  • 社会福祉主事認定通信課程や指定の講習会を修了する
  • 社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得する

⑤キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、職業選択や職業能力の開発・向上に関しての相談に応じて、キャリアコンサルティングを行う専門職です。カウンセリングを中心とした専門技術によって、利用者が自分自身ときちんと向き合って自らの価値を見出し、自己実現できるよう支援します。

資格を取得するには、「キャリアコンサルタント養成講習やキャリアカウンセラートレーニングプログラムを修了する」、「職業能力開発等の業務で3年以上の実務経験を積む」、「技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験・実技試験に合格する」などの受験資格を満たし、国家試験に合格することが必要です。

まとめ

ご紹介したように、障害者支援施設では提供するサービスに応じてさまざまな職種が必要とされています。

資格によって活躍できる分野が異なるので、自分の興味・適性を考えた上で資格取得を目指しましょう。ここでご紹介した内容を参考に、皆さんが障害者福祉の現場でご活躍されることをお祈りします。

※はたらくBASEでは、記事公開した時点での法律や制度に則って記事を執筆しております。新しく事業所を開業する場合や、加算などを検討する場合は、最新の法律や、地域の障害福祉サービスを所管する窓口に制度や条件等をご確認ください。

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