就労継続支援を知る

一人暮らしの夢を支える! 知っておきたい自立生活援助の手引き

安心して一人暮らしができるか不安…。そんな障がい者を支援するために平成30年に施行された新たな福祉サービスが自立生活援助です。一人暮らし継続につなげるため支援者に必要なポイントを受給期間や利用料、サービス内容などポイントごとに解説します

自立生活援助とは?

自立生活支援とは?

障害者支援施設やグループホーム等から一人暮らしへの移行を希望する知的障害者や精神障害者などについて、一定の期間、定期的な巡回訪問や随時の対応により、障害者の理解力、生活力等を補う支援サービスです。

この法律が制定された背景

障害者が安心して地域で生活できるよう、グループホーム等の地域生活を支援する仕組みが必要とされています。

しかし、集団生活ではなく賃貸住宅等における一人暮らしを希望する障害者の中には、知的障害や精神障害により理解力や生活力等が十分ではないために一人暮らしを選択できない人もいます。

自立生活援助はこのような背景から、障害者の自立生活を援助する目的で、平成30年4月1日施行となる改正障害者総合支援法の中で新たに創設されました。

対象となる障害者

以下のいずれかに当てはまる人が対象となります。

  1. 障害者支援施設やのぞみの園、宿泊型自立訓練事業所等から地域での一人暮らしに移行した障害者等で、理解力や生活力等に不安がある人
  2. 現に一人で暮らしており、自立生活援助による支援が必要な人
  3. 障害、疾病等の家族と同居しており、家族による支援が見込めないため、実質的に一人暮らしと同様の状況であり、自立生活援助による支援が必要な人

※児童福祉施設に入所していた18歳以上の人、障害者支援施設等に入所していた15歳以上の障害者みなし者も対象となります。

支援内容

支援内容は大きく分けて2つあります。

  1. 定期的に利用者の居宅を訪問し、
    ・食事、洗濯、掃除などに課題はないか
    ・公共料金や家賃に滞納はないか
    ・体調に変化はないか、通院しているか
    ・地域住民との関係は良好か
    などを確認し、必要な助言や医療機関等との連絡調整を行う。
  2. 利用者からの相談・要請があった際は、訪問、電話、メール等による随時の対応を行う。

サービスの利用期間

自立生活援助のサービス利用期間は、1年の範囲内で、月を単位として市町村が認める期間です。

自立生活援助では、サービスの長期化を回避するため、標準利用期間が定められており、標準利用期間は1年間となっています。
標準利用期間が終了した場合は、原則、サービスの利用は終了です。

ただし、標準利用期間を超えてさらにサービス利用が必要な場合、審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新が可能です(原則1回)。

詳細はお住まいの市町村役場の、福祉窓口へお問い合わせください。

指定基準について

自立生活支援事業を行うためには指定を受ける必要があり、指定基準には実施主体、人員基準、設備基準、運営基準の4つがあります。下記でそれぞれ詳しくご説明します。

実施主体

居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、宿泊型自立訓練又は共同生活援助にかかる指定障害者福祉サービス事業者、指定障害者支援施設又は指定相談支援事業者

※自立生活援助の事業者指定は事業所単位で実施されます。

人員基準

  1. 管理者(原則専従) 1人
  2. サービス管理責任者(原則専従)
    次に掲げる区分に応じた人員を配置a 利用者の数が30人以下の場合は責任者の数1人以上
    b 利用者の数が31人以上の場合は責任者1人に、利用者の数が30人を超えて30人またはその端数を増すごとに1名追加した数
  3. 地域生活支援員
    利用者の数が25人またはその端数を増すごとに1名とします。

※利用者の数は前年度の平均値(新規に指定を受ける場合は推定数)を用います。サービス管理責任者と地域生活支援員を兼務することはできません。

設備基準

事業を行うために必要な広さの区画を有するとともに、指定自立生活援助の提供に必要な設備及び備品等を備えなければなりません。

運営基準

運営基準は主に以下の4点です。

  1. おおむね週に1回以上、利用者の居宅を訪問することにより、当該利用者の心身の状況、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の把握を行い、必要な情報の提供及び助言並びに相談、指定障害福祉サービス事業者等、医療機関等との連絡調整その他の障害者が地域における自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な援助を行わなければならない。
  2. 利用者からの通報があった場合には、速やかに当該利用者の居宅への訪問等による状況把握を行わなければならない。
  3. 利用者の家族、利用者が利用する指定障害福祉サービス事業者等、医療機関その他の関係機関等との連絡調整その他の必要な措置を適切に講じなければならない。
  4. 利用者の心身の状況及び障害の特性に応じ、適切な方法により、当該利用者との常時の連絡体制を確保しなければならない。

おわりに

この記事では自立生活援助について詳しく解説しました。
法律が作られて間もないので、自立生活援助の事業者数もまだまだ少ないのが現状で、これからさらに必要性が増す事業といえます。

※はたらくBASEでは、記事公開した時点での法律や制度に則って記事を執筆しております。新しく事業所を開業する場合や、加算などを検討する場合は、最新の法律や、地域の障害福祉サービスを所管する窓口に制度や条件等をご確認ください。

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