精神障害とは
(画像=はたらくBASE)

精神障害には種類が色々あり、症状なども人によって変わってきます。適切な対応をするにはそれらの特性を知ることが必要です。この記事には精神障害について詳しく書いていますので、利用者へのより良いサービスの提供や事業所の教養にお役立てください。

目次

  1. 1.精神障害とは
  2. 2.精神障害の種類
    1. ①統合失調症
    2. ②気分障害(うつ、躁うつ)
    3. ③てんかん
    4. ④依存症
    5. ⑤高次脳機能障害
    6. ⑥パーソナリティ障害
    7. ⑦摂食障害
  3. 3 .精神障害の診断基準
    1. ①ICD-10
    2. ②DSM-5
  4. 4.まとめ

1.精神障害とは

精神障害とは、精神疾患により精神機能の障害が生じ、日常生活や社会参加に困難をきたしている状態です。病状が深刻になると、判断能力や行動のコントロールが著しく低下することがあります。 また、正しい知識が十分に普及していないこともあり、精神疾患というだけで誤解や偏見、差別の対象となりやすい傾向があります。

2.精神障害の種類

一口に精神障害と言ってもその種類はいくつもあります。以下では7つの精神障害についてご紹介します。

①統合失調症

原因はよくわかっていませんが、100人に1人弱が発症します。被害妄想・幻聴・興奮・思考の脈絡の乱れ・感情の平板化・意欲や自発性が低下し閉じこもりがちになるなどの症状が見られます。

思春期・青年期に発症することが多く、経過が長期にわたるため、福祉的な支援が必要となる人も少なくありません。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。

陽性症状

幻覚実態がなく他人には認識できないが、本人には感じ取れる感覚のこと。なかでも、自分の悪口やうわさ、指図する声等が聞こえる幻聴が多い。
妄想明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのこと。
誰かにいやがらせをされているという被害妄想、周囲のことが何でも自分に関係しているように思える関係妄想などがある。

陰性症状

意欲が低下し、以前からの趣味や楽しみにしていたことに興味を示さなくなる。
疲れやすく集中力が保てなくなり、人付き合いを避け引きこもりがちになる。
入浴や着替えなど清潔を保つことが苦手になる。

認知や行動の障害

考えがまとまりにくく何が言いたいのか分からなくなる。
相手の話の内容がつかめず、周囲にうまく合わせることができない。

②気分障害(うつ、躁うつ)

気分の波が主な症状として表れる病気です。うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)といいます。

うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状が出ます。

躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりします。また、ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりもします。

③てんかん

てんかんでは、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより発作が起きます。発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、さまざまなタイプがあります。

症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復します。原因はさまざまで、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。

④依存症

依存症は、日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の行動をやめたくてもやめられない状態になる障害です。代表的な依存対象はアルコール、薬物およびギャンブルなどがあります。依存症の特徴として以下のようなものがあります。

  1. やめたくてもやめられない(コントロールできない)
    ・「今日はやめよう」と思ってもやってしまう
    ・適当なところで切り上げることができない
    ・自らの意思ではどうしようもない

  2. 徐々に悪化してしまう
    ・治療しなければ治らない
    ・過度な心配や楽観視をしてしまう
    ・家族・仕事・将来設計など、生活の全てに優先してのめり込む

  3. 問題を否認する
    ・借金・家庭内の問題などの現実を見ない
    ・事実を認めず攻撃的になる

  4. 周りが見えなくなる
    ・目の前の問題解決に奔走し、身体面・心身面・金銭面で疲弊していく

⑤高次脳機能障害

交通事故や脳血管障害などの病気により、脳にダメージを受けることで認知や行動に支障をきたす障害です。身体的には障害が残らないことも多く、外見ではわかりにくいため「見えない障害」とも言われています。高次脳機能障害の症状には以下のようなものがあります。

記憶障害すぐに忘れてしまったり、新しい出来事を覚えたりすることが苦手なため、何度も同じことを繰り返したり質問したりする。
注意障害集中力が続かず、ぼんやりしてしまい、頻繁にミスをしてしまう。
二つのことを同時にしようとすると混乱する。主に左側で、食べ物を残したり、障害物に気がつかなかったりすることがある。
遂行機能障害自分で計画を立てて物事を実行したり、効率よく順序立てたりできない。
社会的行動障害ささいなことでイライラしてしまい、興奮しやすい。
こだわりが強く表れたり、欲しいものを我慢したりすることができない。
思い通りにならないと大声を出したり、時に暴力をふるったりする。
病識欠如上記のような症状があることに気づかず、できるつもりで行動してトラブルになる。

この他にも
・失語症(聞くこと・話すこと・読むこと・書くことの障害)
・片麻痺や運動失調等の運動障害や眼や耳の損傷による感覚障害
などがあります。

⑥パーソナリティ障害

パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんだり、周囲が困ったりする場合に診断されます。認知(ものの捉え方や考え方)、感情のコントロール、対人関係といったそれぞれの精神機能の偏りが原因です。

パーソナリティ障害は、他の精神疾患を引き起こす性質があります。それらの精神疾患が前面に出ることが多いことから、パーソナリティ障害は、背後から悪影響を及ぼす黒幕のような障害とも言われています。

⑦摂食障害

食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型のとらえ方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気をまとめて摂食障害と呼びます。

摂食障害には、必要な量の食事を食べられない、自分ではコントロールできずに食べ過ぎる、いったん飲み込んだ食べ物を意図的に吐いてしまうなど、さまざまな症状があります。

症状の内容によって、摂食障害は細かく分類されます。代表的な病気に「神経性やせ症」「神経性過食症」「過食性障害」があります。詳しい内容は以下の通りです。

  1. 神経性やせ症
    神経性やせ症では体重や体型の感じ方に異常をきたします。患者は明らかにやせていても、それを異常と感じられません。やせるために食事量を制限しますが、その反動として過食する方もいます。

    その場合、嘔吐や下剤の大量使用などにより体重が増えるのを防ぐ行動を伴います。神経性無食欲症・拒食症などと呼ばれてきましたが、必ずしも食欲が無いわけではなく、また過食が見られることもあることから、「神経性やせ症」という新しい病名が提唱されています。

  2. 神経性過食症
    神経性過食症とは、食のコントロールができなくなり、頻繁に過食をしてしまう病気です。
    神経性大食症と呼ばれることもあります。過食に加え、嘔吐など、体重を増やさないための行動が見られますが、どちらも人前では出ない症状のため、周囲は気付かないこともあります。

    自分でも病気とは思わず、援助を求めないことが少なくありません。治療を受けない状態が続くと、身体症状が進んだり、うつや不安が強まったりすることもあります。

    神経性過食症と、健康な人にも時には見られる「やけ食い」などの行動とはっきり区別できない場合もあり、病気かどうかを判断するのは難しい症状です。

  3. 過食性障害
    過食性障害とは、明らかな食べ過ぎを繰り返し、本人が苦痛を感じる障害です。通常、自分自身では食べ過ぎをコントロールできません。

    通常よりずっと速く食べる、お腹が苦しくなるほど大量に食べる、空腹を感じていなくてもたくさん食べるなどの症状や、後になって自己嫌悪や強い罪悪感を覚えたり抑うつ気分になったりするなどの特徴があります。

    過食性障害と似た障害に「神経性過食症」という、いわゆる過食症がありますが、神経性過食症は食べすぎたあとに“埋め合わせ行動”(嘔吐や下剤の使用など)を行うのに対して、過食性障害にはその行動がありません。

    また、過食性障害のある人は、過食をしたあとにダイエットを始めることがあります。通常、過度なダイエットをしてから過食が生じる神経性過食症とは対象的です。

3 .精神障害の診断基準

精神病の診断は、国際的な診断基準を用いて行われます。精神病の診断基準には、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類 第10版』)と、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版』)の2種類があります。

ICDにはあらゆる疾患が掲載されているのに対し、DSMは精神疾患のみを対象としています。

なおICDは、第11回改訂版「ICD-11」が2019年5月にWHOの年次総会で承認されており、厚生労働省は現在、日本国内への適用作業を進めています。では詳しい内容を見ていきましょう。

①ICD-10

WHOの勧告により国際的に統一した基準で定められた死因・疾病の分類表です。現行のICD-10は約14,000項目より構成されています。

1900年(明治33年)に初めて国際会議で承認(日本も同年より採用)されて以降、WHOにおいて約10年ごとに改訂が行われ、 ICD-10は1990年にWHO総会において承認されました。

日本では、統計法にて「疾病、傷害および死亡の統計分類」の指標とされており、公的統計(人口動態統計、患者調査、社会医療診療行為別調査など)、診療報酬明細書、電子カルテ、DPC(診断群分類・包括評価)などにおける死因・疾病分類として広く利用されています。

②DSM-5

アメリカ精神医学会が作成する公式の精神疾患診断・統計マニュアルです。精神科医が精神障害の診断のガイドラインとして用いる診断的分類表であり、アメリカ国内のみならず世界的に広く用いられています。

DSM-5では、精神疾患が22のカテゴリーに分けて解説されています。まず大きな分類として「神経発達症群 / 神経発達障害群」や「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」などのグループがあり、それぞれに小さな下位分類があります。

たとえば「神経発達症群 / 神経発達障害群」というのは、いわゆる発達障害のことですが、このカテゴリーのなかに「自閉スペクトラム症 / 自閉症スペクトラム障害」や「注意欠如・多動症 / 注意欠如・多動性障害」などの診断基準が記載されています。

4.まとめ

一口に「精神障害」といっても症状は人によってバラバラです。私たちはこのような障害を持つ方へ適切な対応を行い、支援していかなければなりません。1人1人に寄り添えるよう、精神障害への正しい知識と理解を持ちましょう。