キャリア論①
(画像=はたらくBASE編集部)

私は医療福祉をメインに人材紹介・人材派遣をしている会社に勤めています。

医療福祉の分野では専門的知識を持つ「有資格者」が必要とされていますが、「有資格者」とはその言葉通り、資格を有する人。看護師、介護福祉士、社会福祉士と多くの資格があるものの、これらの資格を生かしきれていない人がとても多いと感じます。

考えられる理由の一つとして、資格の取り方までは道筋が多く示されているのに比べ、その後の資格の生かし方を知る機会に触れることが少ないからではないかと思います。

現に、私自身が看護師資格を持つ「有資格者」。しかし、看護師人生の中で一度も資格を生かした働き方や職場の選び方を知る機会はなく、知人からの情報収集やネット検索で終わっていました。

それだけに現在、医療・福祉をメインにした人材紹介・派遣会社で働く中で、こんなにも多方面で資格を生かせることに驚きを覚えました。と同時に、もっと多くの有資格者に資格の生かし方、自身のキャリアについて学ぶ場があれば…とじれったさも感じています。

選択肢を知ることで、資格を生かしながらより良い条件で働き続けることができます。新しい分野にチャレンジし、キャリアアップへの道を切り開くこともできます。

このコラムでは一人でも多くの方がご自身の働き方を考えるきっかけになるよう、有資格者のキャリアアップについて発信していきたいと思います。

看護師のキャリア論

第1回目の今回は「看護師」について紹介しましょう。

看護師の資格を生かして働く場合、勤務先は病院・クリニックなどの医療機関、介護施設、就労継続支援事業所、企業主導型保育園、学校など、多岐にわたります。多くの看護師は、まず医療機関で働く中で経験を積みながら知識を深め、その後自分の適性やライフステージに合わせて自分の条件に合う職場で働くという選択をとります。

しかし、ライフステージが変わった時、理想通りに働き続けることは難しいのが現状です。

先日、こんな事例がありました。

病院看護師として働くHさん

看護師として病院に勤務し、夜勤もこなしながらバリバリ働いていたHさんは、子育てとの両立を考え、残業が少なく夜勤のない職場への転職を希望。しかし、夜勤なし・残業なしでは収入がかなり減ってしまうため、収入と子育て環境のどちらを優先するべきか、悩んでいました。

そこで、私は就労継続支援事業所での勤務を提案しました。理由としては、以下の4つが挙げられます。

  1. 収入面…夜勤なしの場合、本人が望む小規模病院と就労継続支援事業所とではあまり変わらない。
  2. 残業時間…病院は緊急を要することも多く、残業が発生することが多いが、就労継続支援事業所の場合、イレギュラーな対応が少ないことから残業が少ない。
  3. 資格取得…看護師の資格に加え、「サービス管理責任者」「相談支援専門員」など、さらなる資格を目指すことが可能。資格取得により、手当として収入アップも見込まれる。
  4. やりがい…就労継続支援事業所では利用者に寄り添いながらの支援業務が中心となることから、病院勤務とは違ったやりがいを得られる。またキャリアアップにより、専門性の高い支援を行えるようになることでやりがいも高まる。

こうした理由とHさん自身が新しいことにも前向きに挑戦する活発な女性であることを踏まえ、就労継続支援事業所で働くことが看護師としてのキャリアアップにもつながり、家族との時間も確保できると考えたのです。

しかし、はじめのうち、Hさんは障害者福祉の分野で働いた経験がなかったことから、自分に務まるだろうか…とかなり不安を感じていました。

そのため、まずは派遣社員として期間を定めて働くことを提案。派遣期間中は面談を定期的に行い、不安に寄り添いながらサポートを行いました。

例えば、未知の領域である障害者福祉の分野で働くことへの戸惑いや不安に対しては丁寧にヒアリングし、勤務する事業所にサポートを依頼。子育てとの両立の中で勤務時間の調整や急な休みが必要になった場合は出勤時間や日数の調整、それに伴う社会保険の検討を行い、事業所との調整も行いました。

また、働いていく中でHさんが「相談支援専門員」の資格取得を希望したことから、専門機関や事業所と連携を取りながら資格取得をサポートしました。

こうしたサポートの後、Hさんは直接雇用の正社員として採用が決定。新しい職場で働き始めたHさんからは「家庭と仕事の両立をかなええることができ、自分のキャリアアップにもチャレンジできたので、転職して本当によかった」と喜びの声が届きました。

看護師資格の生かし方はさまざまです。今回のHさんの事例のように、自分のライフスタイルと適性に合った働き方を考えながら、働く選択肢を広げてみませんか。