栄養士の資格を生かして働く場合、学校の給食室、病院、社会福祉施設、介護施設の食堂、レストランや飲食店など、多岐にわたります。それに加え、最近では新たに飲食店やお弁当事業に取り組む就労継続支援事業所が増えていることから、就労継続支援事業所での需要が増えつつあります。

今回は医療機関から就労継続支援B型事業所に転職したKさんの事例を紹介します。

病院で働いていたKさんの挑戦

元々、病院で栄養士として長く働いていたKさん。知人の飲食店を手伝った際、料理を食べた人が目の前でおいしいと言ってもらえるうれしさに感動し、お客様と直接関われる仕事をしたいと思うようになったそう。

お客様の顔が見える職場を希望して人材紹介会社に相談。新しく立ち上がる就労継続支援事業所のお弁当事業部でオープニングスタッフとして働くことになりました。

栄養士のスキルを生かし、栄養バランスを考えたお弁当のメニュー作りや調理業務を任されたKさんですが、就労継続支援事業所で働く職員は福祉の世界でキャリアを積んできた人や調理師など、これまで全く違う職場で働いていた人ばかり。

新しい環境の中で、Kさんはどのように自分らしい働き方を見つけていったのでしょうか。

栄養士のスキルと経験をフル活用

新しい職場ではどのような働き方をしていますか?

Kさん 私の他に管理者、調理師、生活支援員2人の5人がいます。シフト制で昼食・夕食用のお弁当を作り、調理・盛り付け・配達を中心に業務を分担しています。日によりますが、利用者は5名程度。私のメインの仕事はメニュー作りとそれに伴う仕入れや準備ですが、利用者さんと一緒に調理もしますし、お弁当の配達もします。注文数に応じて前もって予定を組み、準備をする必要があるので、スタッフ間の連携はとても大切です。

実際に働いてみてどうでしたか?

Kさん まず、メインの業務であるメニュー作りがすごく大変でした。病院では食事を作る相手が患者さんなので、減塩食や糖質制限食など決められた枠の中で作りますが、今回は一般の方向けのメニュー。制限はないものの、購買意欲が湧くような、おいしくてバランスが良くて見栄えも良いお弁当を予算を考慮しながら作る必要があります。慣れない大変さもありましたが、スタッフにも相談しながら楽しくメニューづくりを行いました。

新しい環境の中で戸惑うことはありましたか?

Kさん 病院の場合、命に関わる職場ということもあり、マニュアルがあって最初から最後まで統一された決まりの中で業務をします。でも就労継続支援事業所では細かいマニュアルはなく、一つひとつルールを決めていく必要がありました。

その際、それまで全く違う職場で働いていたスタッフばかりだったので仕事のやり方や作業効率の考え方、衛生管理への意識に違いがあり、最初のうちは戸惑うことが多くありました。でもスタッフみんなで話し合い、私も栄養士として働いてきた経験から業務上大切なことはきちんと伝えていくことで、一つひとつクリアしていきました。

就労継続支援事業所で働くやりがいを教えてください。

Kさん まずは栄養士のスキルを生かしながら新しいことにチャレンジできることですね。スタッフみんなで足並みをそろえて作り上げていくことは大変ですが、その分やりがいがあります。何より、お弁当が好評でまた注文をいただいた時や、お客様から「おいしかったです」の言葉をじかに聞けるのが本当にうれしいです。

そして、福祉について学びを深められることもやりがいの一つです。最初は利用者さんにうまく接することができるのかとても不安でしたが、管理者の方や生活支援員の方にささいなことでも相談や質問ができたので心強かったです。病院以外に働いたことがなかった私でも楽しく利用者さんと関わりを持つことができ、知らない世界を知ることができて視野がとても広くなった気がします。

視野を広げるチャンス!

就労継続支援事業所で働くことで、今までとは全く違った働き方や価値観を知ることができたというKさん。大胆で新しいチャレンジになるかもしれませんが、出会ったことのないたくさんの方と関わりを持つことができ、視野を広げるチャンスにつながるかもしれません。

栄養士のスキルを生かして、福祉の世界で新たな自分を見つけてみませんか。