ソーシャルワークの働き方には6つの種類があります。今回は、ソーシャルワークを担う「社会福祉士」「精神保健福祉士」「福祉事務所ケースワーカー」「医療ソーシャルワーカー」「児童指導員」「生活相談員」の6つの職業をわかりやすく解説します。

1.ソーシャルワークとは

ソーシャルワークとは社会福祉援助であり、人々が生活していく上での問題を解決または緩和することで、質の高い生活(QOL)を支援し、個人のウェルビーイング(良好な状態)向上を目指していく取り組みです。

ソーシャルワークには、地域共生社会実現のために「包括的な相談支援体制の構築」と「住民主体の地域課題解決体制の構築」の2つの機能が求められます。

①包括的な相談支援体制の構築

高齢分野や障害分野、生活困窮者自立支援制度、厚生労働省が推進する「『我が事・丸ごと』の地域共生社会の実現」など、さまざまな場所で重要性が指摘されており、包括的な相談支援体制の構築の必要性が高まっています。

包括的な相談支援体制の構築に求められるソーシャルワークの機能は以下の通りです。

  • 支援が必要な個人や家族の発見
  • 地域全体の課題の発見
  • 相談者の社会的・心理的・身体的・経済的・文化的側面のアセスメント
  • 世帯全体、個人を取り巻く集団や地域のアセスメント
  • 問題解決やニーズの充足、社会資源につなぐための仲介・調整
  • 新たな社会資源の開発や施策の改善に向けた提案
  • 地域アセスメント及び評価
  • 分野横断的・業種横断的な社会資源との関係形成
  • 情報や意識の共有化
  • 団体や組織等の組織化並びに機能や役割等の調整
  • 相談者の権利擁護や意思の尊重にかかる支援方法等の整備
  • 人材の育成に向けた意識の醸成

②住民主体の地域課題解決体制の構築

「福祉分野においても、『支え側』と『受け手側』に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる『地域共生社会』を実現する必要がある」

政府が進める「ニッポン一億総活躍プラン」の中で上記の記載があることからも、住民主体の地域課題解決体制構築の必要性が伺えます。

住民主体の地域課題解決体制の構築に求められるソーシャルワークの機能は以下の通りです。

  • 地域社会の一員という意識化と実践化
  • 地域特性、社会資源、地域住民の意識等の把握
  • 福祉課題に対する関心や問題意識の醸成、理解促進、課題の普遍化
  • 地域住民のエンパワメント
  • 住民主体の地域課題の解決体制の構築・運営にかかる助言・支援
  • 担い手としての意識の醸成と機会の創出
  • 住民主体の地域課題の解決体制を構成する地域住民と団体等との連絡・調整
  • 地域住民と社会資源との関係形成
  • 新たな社会資源を開発するための提案
  • 包括的な相談支援体制と住民主体の地域課題解決

2.ソーシャルワーカー

このようなソーシャルワーク(社会福祉援助)を専門とする職業の総称が「ソーシャルワーカー」です。ここからはソーシャルワーカーと呼ばれる職業の種類と内容を解説します。

社会福祉士

専門的知識及び技術をもち、身体的・精神的な障害、高齢、貧困などの理由から日常生活を営むことに支障がある人たちの相談に応じて、サービスの調整や援助を担う仕事です。

  • 勤務先
    社会福祉士は、福祉に関するありとあらゆる相談を受け付けるため、勤務先も介護や医療、障害者支援など、複数の分野にまたがっています。勤務先によっては「ケースワーカー」や「生活相談員」の名称で呼ばれます。

  • 仕事内容
    相談者の抱えている問題を分析し、適切な支援サービスや福祉施設の提案といった相談業務、相談後のサービス管理や法律への対応、サービスの見直しや調整などです。

  • 資格
    福祉系4年制大学卒業者(指定科目履修)、社会福祉士指定養成施設卒業者等で、社会福祉士国家試験に合格し登録することが必要です。

詳しくは、こちらを参考にしてください。
就労継続支援と切っても切れない社会福祉士という職業

精神保健福祉士

精神保健福祉の領域で専門的な知識や技術を持ち、精神に障害がある人たちの社会復帰を手助けしたり、必要な訓練を行ったりする仕事です。

  • 勤務先
    医療機関(精神科病院、総合病院の精神科、精神科・心療内科クリニックなど)、行政機関(自治体、保健所など)、その他(障害福祉サービス事業所、児童養護施設、高齢福祉施設など)。

  • 仕事内容
    精神保健福祉士の仕事内容は働く場所によって異なりますが、主な仕事内容は精神的な障害を抱えている人の退院後の支援や社会復帰の促進です。相談者に関わる方々と協力しながら復帰を後押しします。

  • 資格
    保健福祉系4年制大学卒業者(指定科目履修)、4年大学卒業後、精神保健福祉士指定養成施卒業者等で、精神保健福祉士国家試験に合格する必要があります。

詳しくは、こちらをご覧ください。
事業所に精神保健福祉士が必要な理由

福祉事務所ケースワーカー

福祉事務所ケースワーカーとは、病気や高齢、貧困で生活に困っている人々に対し、福祉事務所で一人ひとりの問題(ケース)について相談を受け、必要な支援を行う仕事です。

  • 勤務先事業所に精神保健福祉士が必要な理由 福祉事務所

  • 仕事内容
    主な仕事内容は、申請者に対して面接や調査、報告書の作成、担当者の住宅調査や家庭訪問、支援プログラムの手続きの支援など

  • 資格
    まず、都道府県又は各市(特別区を含む)及び福祉事務所を設置する町村のいずれかの地方公務員試験に合格する必要があります。多くの場合、一般の行政職としての採用となり、入職後、福祉事務所に配属され、福祉事務所ケースワーカーの仕事をします。

福祉事務所に勤務するケースワーカーについては、社会福祉法で「社会福祉主事」の資格が必要と規定されています。

社会福祉主事になるには、大学や専門学校などで、厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業しているか、指定養成機関又は講習会の課程を修了している必要があります。

資格を持っていない人は、福祉事務所に配属された後、講習会に参加するなどして資格を取得しなければいけません。

医療ソーシャルワーカー

保健医療機関において患者とその家族が抱いているニーズを発見し、課題解決のために医療機関をはじめとする関係各所と連絡・調整を行う役割を果たします。主に、治療の中で生じる心の不安や心配を解消しています。

  • 勤務先
    職場となる組織は主に医療機関です。
    具体的には、一般病院・診療所、精神科病院、介護老人保健施設、保健所・保健センターなどです。

  • 仕事内容
    医療機関に就業し、入院患者とその家族を中心に相談業務を担います。

    具体的には、療養中の心理的あるいは社会的な問題の解決と調整の援助、退院のサポート、社会復帰に向けた支援、受診や受療のサポート、経済的な問題の解決と調整援助、地域活動などです。

  • 資格
    医療ソーシャルワーカーになるために必要な資格はありません。しかし、ほとんどの病院では採用の条件として「社会福祉士」の資格保持者を挙げているため、社会福祉士の取得を推奨します。

スクールソーシャルワーカー(児童指導員)

親元を離れて児童福祉施設で暮らす子どもや、発達障害などを抱える子どもに対して、生活全般をサポートしたり、自立して生活を送るための訓練を実施したりする職業です。

  • 勤務先
    児童養護施設、障害児入所施設や医療型児童発達支援センター、放課後等デイサービス事業所、児童自立支援施設や、1歳未満の赤ちゃんを預かる乳児院などです。

  • 仕事内容
    精神的な健康を保てるよう、不安や悩みの相談に乗ったり、遊び相手になったりして子どもの成長を注意深く見守りながら生活指導全般を担います。
    子どもの引き取りをめぐる保護者との面談も、子どもの将来を左右する重要な仕事です。

  • 資格
    児童指導員になるには、児童指導員の任用資格を得ることが必要です。

    ただし、「医師」や「弁護士」のように、「児童指導員」という資格があるわけではなく、児童福祉法によって定められたいずれかの「任用資格要件」を満たす必要があります。

    任用資格要件は複数あります。主な要件は以下の通りです。

    ・4年制大学または大学院の、指定する学部・学科・専攻を卒業する
    ・福祉系の専門学校など、厚生労働省の指定する児童指導員養成施設を卒業する
    ・高卒以上の学歴を有したうえで、児童福祉の実務経験を2年以上積む
    ・幼稚園・小・中・高いずれかの教員免許を取得する
    ・社会福祉士資格または精神保健福祉士資格を取得する

    任用資格を満たした後は、就職を希望する施設の児童指導員採用試験を受け、内定を取る必要があります。

    公立の施設については地方公務員試験を、民間の施設については施設ごとに実施される採用試験を受け、合格すると児童指導員として働けます。

生活相談員(生活指導員)

生活相談員とは、老人ホームや介護老人保健施設、デイサービス(通所介護)などの介護福祉施設や、事業所の利用者とその家族を対象とする相談業務や地域社会との連携などを担う専門職です。

  • 勤務先
    長期入所が可能な介護施設(有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど)、デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所)サービスを提供している事業所などです。

  • 仕事内容
    生活相談員の主な仕事内容は、個別援助計画・ケアプランの作成、相談援助、施設の入退去やサービス利用に関する手続き、ケアマネジャーや地域・他機関との連携や調整、施設で働く介護スタッフのサポートです。

  • 資格
    「生活相談員」という資格は存在しないため、要件さえ満たせば生活相談員として働けます。

    一般的には、以下の資格のいずれかを取得していることが生活指導員になるための要件です。

・社会福祉主事任用資格者
・社会福祉士
・精神保健福祉士  

3 .おわりに

さまざまな課題に対して、共に取り組む援助を提供するソーシャルワーカーにもいろいろな種類があります。 気になる職業が見つかったら、理解を深め、資格試験に挑戦してみてください。