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福祉がDXで幸せになる方法

はじめに

近年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。しかし、「そもそもDXとは何か?」「DXに取り組むべき理由は?」などの疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回はDXの基本知識と福祉業界がDXを導入するメリットについて解説します。

DXとは

DXとは

(画像=経済産業省より)

簡潔にすると

「企業がデジタル技術を活用することで、人々の生活やビジネスをよりよいものへ変革すること」

と言えます。福祉にDXを導入するにはどう考えたらいいのかを詳しく解説していきます。

福祉とDX

福祉業界には、どのようにDXを導入すればよいのでしょうか?
また、導入する際にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか?

①福祉業界はDXが嫌い?

内閣府が公表した「令和3年度高齢社会白書」によると、総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は28.8%となっています。少子高齢化が進む日本では福祉業界への需要は、今後さらに高まっていくでしょう。
一方で、福祉業界では、人材不足や給与の低さ、離職率の高さなどの課題も残っています。これは生産性との兼ね合いとも言われています。

福祉と生産性と聞くと「?」となる方が多いと思います。福祉では主に対人の直接支援を行います。生産性の話題となると一人の支援員が多くの利用者を支援できるようにするの?と疑問を持たれる方が多いのが実情です。

生産性を高めることが支援の質の低下に繋がるという危惧を持たれる方もいらっしゃいます。しかし、その疑問や危惧は間違いです。

福祉におけるDXは有限の時間をより直接支援に当てることを目的に考えていきます。要するに、直接支援以外の業務をどう効率化するのかが主な主題となるわけです。

②福祉業界におけるDX導入のポイント

ここでは主に3つのポイントに絞ってDX導入について考えていきましょう。

コミュニケーションを最適化

福祉の現場では多くの情報が取り扱われます。さらに、多くの職員がその情報を知る必要があります。現場ではそれらを解決する方法として「申し送り」というミーティングや書類の共有を行ってきました。例えば、情報を伝達・周知するために全員で集まるミーティングを開催し、さらにそこで書類を配ることが当たり前のように行われてます。しかし、この「申し送り」こそ、多くの時間を必要とする非効率の源泉とも言える慣習であるのです。

この「申し送り」を変えることができるDXはビジネスチャットです。ビジネスチャットを導入することで、職員全員が情報を瞬時に共有できるようになるだけでなく、伝える側・伝えられる側が時間を合わせる必要がなくなるので、より直接支援に時間を当てることができるのです。LINEで情報共有をしているという事業所も多いですが、セキュリティの観点から無料版を使用するのはNGです。必ず商用版を使ってください。他にはチャットワークなど日本製のサービスもおすすめです。

ペーパーレスを推進

福祉の現場は多くの紙を使用します。だからこそ、福祉事業所にも立派な複合機を誰も疑うことなく設置してきました。しかし、それこそが非効率の源泉となっているのです。印刷は連携機関向けや記録等の保管時に必要になるので印刷機の撤廃は不可能ですが、モノクロのレーザープリンターで十分に対応できるレベルです。要するに、複合機はオーバースペックであると言えるわけです。複合機が目の前に存在すると、どうしても気軽に印刷を行ってしまい、結果としてペーパーレス化が進まない障壁になります。まずは、事業所から複合機を廃止することから始めるのをおすすめします。

管理を最適化

福祉業界で必要な管理にはシフト管理などの労務・給与計算など、一般企業と同じような人事労務管理が必要です。特にシフト管理は資格や利用者との兼ね合いなど、策定にかかる要因が多く、一般的に属人性が高い業務です。ここに効くのがAI(人工知能)です。AIにシフトを作成させることで、労力を大幅に削減できるだけでなく、さらに属人性も排除することができるのです。これにより直接支援の時間を大幅に確保することが可能になります。AIのシフト作成サービスは様々なものがリリースされていますので、試してみてはいかがでしょうか。

③DXを導入する際の注意点

様々なメリットがあるDXですが、導入する際、どんなことに気を付けなければならないのでしょうか?

自分の事業所の課題と目的を明確に

いざ、DXを導入するとなったとき、どのような場面でどんなシステムを導入するか決めておかなければ業務の非効率化に繋がったり、結果としてシステムコストが余計なコストになってしまうことになりかねません。福祉に業務フローは無いという経営者の多くは、業務のブレークダウンができていないともいえます。DXを導入する前に自身の事業所の業務フローを可視化し、ブレークダウンしてください。そして、何を解決するためにどのようなDX技術を導入するのかを検討してください。

システムは既存のものを使う

DXを導入するときに、自分たちの職場環境にあったシステムを開発しようとする場合がありますが、システム開発には膨大なコストと時間がかかります。システムはできるだけ既存のものを使い、システムにあわせて業務フローを変えるぐらいの柔軟さが重要です。

トップダウンだけど優しく

職員がDXについて学ぶ機会を設けたり、使いやすいシステムを導入したりして、職員がDXになじめる環境を整えましょう。導入するシステムの数を最小限に抑え、OSレベルで端末を統一することが重要です。こうすることで、職員同士が知識や経験をシェアし、デジタル活用スキルがどんどん伸びていく環境作ることができます。

おわりに

福祉へのDXの導入について解説しました。様々な課題をもつ福祉業界。より質の高い支援を実現している事業所こそデジタル化が進んでいます。積極的にDXを意識しトライすることでより良い事業所運営が可能になります。

※はたらくBASEでは、記事公開した時点での法律や制度に則って記事を執筆しております。新しく事業所を開業する場合や、加算などを検討する場合は、最新の法律や、地域の障害福祉サービスを所管する窓口に制度や条件等をご確認ください。

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